千葉県館山市の見物海岸を訪れた。海岸段丘が2段になっているが、上段は1703年の元禄地震で離水した面、下段は1923年の大正関東地震で離水した面である。地震の被害の一端であるが、大地震で地面が隆起した姿を見るに、そのエネルギーの大きさに驚かされる。
『エイジング』
ジョン・ランゴーン『エイジング:老いについて私たちが知っておくべきこと』(ほるぷ出版,1992)をパラパラと読む。
原著はアメリカで1991年に刊行された本である。日本でもバブル華やかな盛りである。医学や栄養、運動、文化面から追いの不安や誤解について書かれているが、障害身寄りのない孤独や貧困は全く触れられていない。この30年間という時間の中での社会全体の「老い」を感じてしまった。
『化石のたのしみ』
若一光司『化石のたのしみ:愛しき太古の生きものたち』(河出書房新社,1987)をパラパラと読む。
著者は芸術家であり、小説家であり、テレビのコメンテーターであり、化石愛好家という多才な才能のタレントを持った方である。最終学歴は美術の高校卒業であり、化石の専門家ではない。
小説家と化石好きの二足の草鞋を履きながら、化石探しに奔走する様子を描いた前半は興味深かった。後半は化石の解説ばかりで読み飛ばした。
ドラえもんの映画『のび太の恐竜』でも登場したフタバスズキリュウは、1968年福島県いわき市内で、高校2年生の鈴木直少年が発見したことから名付けられた恐竜で、中世代のジュラ紀から白亜紀にかけて世界中で栄えた海生爬虫類である。日本では陸生の恐竜の化石が発掘される土地は限られているが、海生恐竜であれば、関東甲信越を中心に日本全国で発掘される可能性がある。
「福井・恐竜博 新幹線延伸 年間118万人」
本日の東京新聞夕刊の一面に、福建立恐竜博物館が昨年7月にリニューアルオープンしてから、来館者が急増しているとの記事が掲載されていた。
少し視点を変えて記事を見てみたい。では、なぜ福井で恐竜の化石が見つかり、埼玉では見つからないのか。中学校で学習したと思うが、関東甲信越の大半はフォッサマグナという大陥没地帯に位置している。実は恐竜が活躍した中世代は海の底だったのである。2000万年前くらいから海底の火山活動と、太平洋プレートの西進による造山運動によって、海から陸地に変わったのである。そのため、数万年前のナウマン象の化石や貝塚などは見つかっても、ティラノサウルスなどの恐竜の化石は存在しないのである。
関東山地のある群馬県からは恐竜の化石が見つかっているが、東京、埼玉、千葉、神奈川、茨城、栃木、山梨からは一切見つかっていないのは、そういう理由である。
『氷河への旅』
樋口敬ニ『氷河への旅』(新潮選書,1982)をパラパラと読む。
著者は京都三高、北海道大学を経て、長谷大学水圏科学研究所の教授を務めていた方である。専門は氷雪物理学であり、本書も氷河の研究で世界各地に出かけた際の諸々がまとめられたコラム集となっている。
ほとんど読み飛ばしたが、エベレストの高さが8,848メートルについての話が興味深かった。エベレストの高さは、対流圏界面の上空10000メートルに近く、造山運動による隆起と風化による侵食の相互作用によって決まっているのではないかと疑問を呈する。対流圏界面とは、地面近くの対流圏とその上にある成層圏との境目で、地上から昇った空気はここで一応止められる。いわば大気の天井である。その高さは熱帯で高く、極で低く、季節によって変わる。エベレストのあたりでは、冬に1万メートルの高さにある。
圏界面の上では水蒸気が少なくなり、雲もない。そのため、エベレストに降り注ぐのは、雲に遮られることのない”裸の太陽光線”である。岩肌は昼に温められ膨張し、夜になると岩の放射冷却を遮る雲もないので、岩肌は急速に冷やされる。こうして昼と夜で加熱と冷却がはげしく繰り返されると、岩石についた雪が昼に溶けて割れ目に浸み込む。夜に水が凍って膨らみ、割れ目を拡大する。
造山運動によってじわじわ盛り上がってきたヒマラヤの高嶺は、この圏界面付近の激しい風化作用で削られる。かりに直径10センチの頂上の浮石が崩れ落ちれば、100年分の営々とした上昇量を失うことになる。




