『東名高速殺人事件』

山浦弘靖『東名高速殺人事件:特捜ハイウェイ刑事』(光文社文庫 1992)を読む。
1988年のバブル真っ盛りに刊行された本である。出版界も好景気だったのだろう。空中に浮いてしまうようなブースターやオフロードも走れるようにタイヤから爪が出るような改造を施した愛車BMWに乗るハイウェイ刑事が、細菌兵器を密かに密造するグループを追うという内容である。途中10代の少女との危ういシーンがあったり、内閣情報調査室のエリート役人が銃を放ったり、いい感じにぶっ飛んでいて飽きることはなかった。通勤途中のサラリーマンが駅のキオスクなどで手に取って、仕事の疲れを癒すような肩の凝らない物語である。
著者には申し訳ないが、こんな暇つぶしだけの本が堂々とシリーズで出版される時代があったことに驚きを感じてしまう。こうした通勤途中の大人向けの娯楽小説が売れる時代はもう来ないのだろうか。

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