東京新聞朝刊より

本日の東京新聞の朝刊に分かりやすい良い投稿が載っていた。こうした分かりやすさが大切な気がする。

 「歴史は繰り返される」(ローマの歴史学者クルティウス・ルフス)の有名な言葉がある。今、日本がその言葉の岐路に立たされている気がしてならない。小泉首相が性急に進めている「有事法制関連三法案」がそれだ。最近はテロ事件や侵略戦争が続く国際情勢であるが、国民生活の自由を束縛し、憲法の精神を逸脱した政府の軍事優先の姿勢には理解しがたい。政治家は過去の重い戦争の歴史を忘れてはいないか。
「十二月八日」はまだしも、「八月十五日」がどういう日か知らない学生が多いという。戦後五十七年、戦無派が大多数となった幸せな時代であるが、あの戦争の真相や原因を知識として学ぶことの必要性を感じる。
物事が行き詰まったら「歴史に学べ」とよくいわれる。今の政治、社会、教育のさまざまな難題を考える時、歴史特に、明治維新からの近現代史を世界史的視野で学ぶことが大切だ。昔から歴史の授業は時間がなくなり”しり切れとんぼ”のケースが多い。実はそのしっぽが肝心なのである。
私は戦中派で苦い体験をしてきたので、このしっぽに特別な思いがある。昔、生徒に歴史を教える立場だったので何とか太平洋戦争まではと思っていたが、駆け足になり今でも悔いを残している。最近は、学校も休日が増え、四月からの授業は三割減になった。高校生の孫に歴史はどこまでやったか、と聞くと「大正の初めまで」の答えだった。
やはりそうか…。最も大事なしっぽの部分が欠落したままで終わってしまったようだ。昭和史を含む近現代史をしっかり学べば、今の政治問題の手助けになるだろう。憲法だって戦前戦後の対比をすれば改憲論議の是非も、戦前の富国強兵は貧民強兵の飾り言葉にすぎなかったことも理解できよう。そして日本特有の天皇制と政党制、国民の義務と責任。一国のリーダーの品質、教育と倫理の重要さも分かろう。
歴史の個々の事実は一つだが、無数の事実の中から多角的に歴史を見る目(歴史観)が大切だ。特に近現代史を学ぶことによって今政府が向かおうとする道が将来の確かな道か判断できるのではないか。
(埼玉県秩父市 無職 宮前昇 79)

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