山田剛志『法科大学院』(平凡社新書 2002)を読む。
ロースクールについての基礎的な事柄が押さえられた。今度の秋の臨時国会でほぼ原案通りで可決する模様であるが、来年度以降も法学部出身でない者への受験のあり方や、司法研修所制度の改革など、混乱が生じそうな模様である。私は法曹人口が増えるということに基本的には賛成であるが、民事法中心の実務家養成に重きが置かれている点が気掛かりである。私は法律は全く分からないが、中間まとめ案によるとロースクールでの法律基礎科目群60単位のうち公法系には10単位しか振り分けられないというのだ。また科目も実務家養成のための科目に厳選されているため、いわゆる法学チックな法哲学や法思想史、また総論的な授業は見当たらない。2年時から法律文章講座といった司法研修所のカリキュラムが前倒しされてしまっている。しかしこのロースクール制度によって様々なキャリアを持った多様な人材が法曹界で活躍する一助になれば良いのでは。
『法科大学院』
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