『大学活用法』

岩波書店編集部『大学活用法』(岩波ジュニア新書 2000)を読む。
大学教授から評論家やカメラマンまでが大学での教養の勉強から、大学は不要論まで自由に意見を述べている。まあ高校生にとってありきたりな進学雑誌よりはためになるものであろう。全体的には面白くなかったが、中で漫画家の竹宮惠子さんと佐高信氏の文章は興味深かった。竹宮さんはマックを使いこなす漫画家として過去にマック関連の雑誌に取り上げられたことがあるので、作品は読んだことないけど名前だけ走っていた。しかし彼女は徳島大学の学生時代に大学紛争に参加するためと、一年間漫画家の仕事を「休業」したという経緯の持ち主である。そして大学についてこう述べる。

私にゆっくり考える時間を与えてくれたところでした。学問という意味ではあまりしていないのですが、そうでない勉強をいっぱいさせてもらったし、一年間大学紛争の勉強をするためにマンガを描かなかったくらい、学ぶことはたくさんあったのです。そんなふうに自分を変える場というものが大学にはあったのです。大学でいろいろな人生勉強、社会勉強をしたことが自分のマンガの底の基礎をつくっていると思います

佐高信氏は自分の大学の授業以外の講義の「盗聴講」を勧める。そして大学で何を学ぶかという自問に対し、「ムダを学ぶ」と答える。このムダの意味することを学ぶことは難しい。そして真の意味でのムダを教えることは本当に難しい。

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