『号令のない学校』

佐藤真知子『号令のない学校』(学陽書房 1989)を読む。
オーストラリアの自由な個性尊重の学校を紹介しながら、日本の学校の不自由さを批判するといったありきたりな内容である。
確かに日本の学校のいじめや不登校、転校の難しさなど風通りの悪さは指摘の通りだが、オーストラリアの学校に対する無批判な礼賛には頷きかねる。オーストラリアの豊富な資源、そしてそれゆえの裕福な社会環境、またアボリジニーに対する差別などオーストラリア社会全体を考慮にいれていかねばならない。教育環境は否が応でも国の思惑の影響が大きい分野である。常に教室と学校、そして学校と地域、そして国家との関係から論じていかねば危うい方向へ議論が進んでしまう。

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