『理数教育が危ない!』

 筒井勝美『理数教育が危ない!:脱ゆとり教育論』(PHP研究所 1999)を読む。
 九州松下電器でエンジニアとして16年勤務し、その経験を生かして、西日本を中心として小学生中学生対象の塾を設立したという経緯を持つ著者による理数教育の充実の訴えである。前半部では、1977年以降の公立小中学校におけるゆとり教育が成績だけでなく、生徒の心も荒廃させたと、徹底した批判を加える。そして後半部には、「人を思いやる心」を育て、「忍耐力」をつけさせ、さらに「日本の衰退を救う」理数系志望者の育成を掲げる塾の宣伝とお決まりのパターンで展開される。
一つ興味深かったのが、この著者が主宰する塾では専任の教師陣を確保した上で理科の実験を導入しているそうだ。小中学校においては、授業時間数の短縮の中で、理科の実験を行う機会がどんどん減ってしまっている中、「自ら学び、考える力」を養う上で理科実験の導入は評価できる。

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