『天野祐吉のおかしみの社会学』

 天野祐吉『天野祐吉のおかしみの社会学』(マドラ出版 1993)を読む。
 テレビ東京で放映していた講演が本になったもので、人間の根源的な感情であるおかしみについて多角的な分析を加えている。なぜおかしさが発生するのか、そしてその効能や作用について具体例を用いながら分かり易く解説されている。

 (映画を見ながら)そのときに思ったんですが、笑うところが違う人って、もう一つ共感できないんですね、エイリアンみたいで。やっぱり共通の笑いを持ってる人というのは安心できる。同じところをおかしがっているということが、素朴な人間的つながりを生んでいくペースになっているんですね。
もちろん同じところで笑っても、何をどうおかしがっているのか、その中身は人それぞれです。だから、人のおかしくないことを自分がおかしいと思ったときに、「あれ、おれは人と違うんだなア」という、自分自身の発見にもつがるわけで、そこにもおかしみのすぐれた効用があるわけですが、それにしても、人がおかしいときに自分はぜんぜんおかしくないということがつづくと、これは生きていけなくなってしまいますよね。

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