『竹中教授のみんなの経済学』

竹中平蔵『竹中教授のみんなの経済学』(幻冬舎 2000)を読む。
勉強しない大学生を対象とした参考書の体裁をとっている。現在の日本は個人の1400兆円にも上る貯蓄が滞っているから経済の停滞を招いており、株式投資や投資信託などを利用し資産を運用せよと、読者に滔々と啓蒙を試みる。徹底した古典派経済学者で、自己責任を原則として個人も銀行も市場に全てを任せることでうまくいくと断言する。自民党族議員からも社民、共産党からもそっぽを向かれるような政策であり、ピエロ的立場で旧自由党を中心とした民主党右派勢力の政策の代弁者となっている。現在も小泉政権の中で金融・経済財政政策の内閣府特命担当大臣を務めており、弱肉強食の殺伐とした社会を目指す小泉政権の象徴的存在となっている。

余談であるが、最近ベンチャービジネスで成功したビジネスマンの自宅や豪勢な暮らしを取り上げるバラエティ番組が多い。公園の片隅で暮らす野宿労働者を強制的に排除する一方で、年収数億円のビジネスマンをありがたがるような風潮はテレビ番組とはいえ気味悪いものを感じる。

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