『男たちの大和』

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中村獅童・反町隆史主演、佐藤純彌監督『男たちの大和』(2005 東映)を観に行った。
60年前の太平洋戦争末期に、一億総玉砕の尖兵として無残な最期を遂げた戦艦大和の乗組員の生き様、死に様を鮮やかにスクリーンに蘇らせている。激烈な戦闘シーンが続き、戦争の悲惨さが迫力をもって十分に伝わってくる。中村獅童の演技にも鬼気迫るものがあった。
一方で、当時の戦争を日本人の視点でしか捉えておらず、ともすれば米軍に勇敢に立ち向かった英霊を賛美するような解釈を許している。作品中では国家犯罪の犠牲者となった大和乗組員の無念な青春がテーマとなっているのだが、エンディングで長渕剛が突然「それでもこの国を たまらなく愛しているから もう1度生まれ変わったら 私の名を呼んで下さい」と歌い出し、作品の世界観を思いっきりぶち壊してしまう。

ネットで調べたところ、エンディングの最後には「多くの方達が命を懸けて守った日本に、今私達は立っている」とのクレジットが入る予定だったが、諸々の事情によりカットされてしまったそうだ。10代、20代の若い人が改めて戦争の悲惨さを知るという意義を考えると、戦争国家を肯定するような意味付けは不要である。

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