『とれたての短歌です。』

俵万智・浅井慎平『とれたての短歌です。』(角川文庫 1989)を読む。
俵万智さんの短歌に浅井さんの写真がコラボされている作品である。以下の短歌が気に入った。すぐに連絡が取れる電話や留守番コールがあるのだが、なかなか相手がつかまらないという、携帯電話が普及する前のすれ違いがうまく描かれている。
こうした短歌を読むにつけて、つくづく携帯電話なるものが、恋人同士の微妙な不安や期待の気持ちを切り捨てていったかが分かる。

まだ何も書かれていない予定表 なんでも書ける これから書ける
すれ違う 私とあなたのスケジュール むすんでひらいて留守番電話
心にはいくつもの部屋 好きだから言えないことと 言わないことと
新しいテレホンカードに替わるまで 一人と一人になる五秒間

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