『運転士』

第107回芥川賞受賞作である、藤原智美『運転士』(講談社 1992)を読む。
秒単位の時間や細かい規則にガチガチに縛られた地下鉄運転士の抱える内面の衝動を、カバンに閉じ込められた少女、巨大なコピー機、バルーンなど象徴的なイメージで描く。
いかにも「純文学っ」といったテイストのある作品である。しかし、場面転換が多く、細かい状況描写が続くので、読みにくく感情移入のしにくい作品であった。
表題作の他、コンピュータ制御された養豚場を舞台とした『王を撃て』が収められている。

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