栗原康『かくされた自然:ミクロの生態学』(筑摩書房 1973)をパラパラと読む。
濁った水たまりに繁殖するボウフラや牛のい内臓に生殖するバクテリアなど、微生物の研究が分かりやすく説明されている。
次の一節が印象に残った。珊瑚礁を含め、肉食と草食の区分が崩れてしまう。
ウシは草を食べるという点では、確かに草食動物である。しかし、その草は胃の中の微生物社会を動かすためのエネルギー源なのである。
ウシは、草を食べて生きているのではない。草を食べて生きている無数の微生物によって生かされているのである。
ウシはバクテリアを食べる細菌捕食者であり、原生動物を食べる肉食動物であり、微生物の排泄物を食べる汚物処理者でもある。ーそして微生物こそ草食動物なのである。