『水族館は海への扉』

杉浦宏編著『水族館は海への扉』(岩波ジュニア新書 1989)をパラパラと読む。
著者の杉浦氏は、日本大学農学部水産学科を卒業し、恩賜上野動物園水族館に勤務したのち、井の頭自然文化園水生物館長を務めた、現場一筋の水族館員である。ラジオ「全国こども電話相談室」の回答者としても活動しており、自身の経験を交えて、戦後になって各地に広まっていった水族館にまつわるドタバタが描かれる。

上野動物園は正式には「東京恩賜上野動物園」という。母体は1882年開園で、日本で最も古い動物園である。昭和天皇が結婚した1924年に、動物園を施設ごと東京都へ「下賜」されたものである。

その他アクリル板を用いた水槽作りなど、自身の経験で文書が綴られており、高度経済成長期に日本各地で繰り広げられた挑戦が垣間見えて面白かった。