『蜩の記』

第146回直木三十五賞受賞作、葉室麟『蜩の記』(祥伝社 2011)を読む。
久しぶりの感動作であった。3年後の切腹を命じられ幽閉の身の秋谷と、刃傷沙汰により秋谷の監視役を仰せつかった庄三郎の二人の武士の物語である。そして村の百姓との出会いや恋物語、武士としての信念など、様々なエピソードを交えて、人間的に未熟だった庄三郎が心が通い筋がとった武士として成長していく姿がかっこいい。
直木賞受賞作として申し分のない出来である。