第100回芥川賞受賞作、南木佳士『ダイヤモンド・ダスト』(文藝春秋 1989)を読む。
表題作の他、「文學界」などに掲載された、『冬への順応』『長い影』『ワカサギを釣る』の3編も収められている。
どの作品も信州佐久平に住む医師もしくは看護師という設定で、海外での勤務を経て信州に居を構えるのだが、心の奥はいつまでも定住することができず、過去へ過去へと彷徨ってしまうという内容である。実際の作者の経歴に酷似しており、小説というよりも、自伝的小説やエッセーとといったような趣である。
医者も悩む人間だというメッセージを発しているのだが、一方で医者は凡人とは異なる特別な存在であるといったメッセージも感じてしまう。
『ダイヤモンド・ダスト』
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