本日の東京新聞朝刊より。
中国というと,世界一人口の多い漢民族の国だとステレオタイプに捉えてしまいがちである。しかし,中国は国内に少数民族の自治区を多数抱えており,多民族国家という側面がある。但し,中国の沿岸部に居住する漢民族が人口の9割近くを占めており,共産党支配の政治や経済も漢民族が中心であり,チベットやウイグル自治区に対する弾圧や民族「浄化」に対する批判が繰り返されている。1学期の地理Aの授業でも少し触れたところである。
こうした中国政府を支持する国と批判する国に色分けし分析を加えたのが,今日の記事の内容である。「敵の敵は味方」という政治の根本原理が手に取るように分かる。中国を支持するのは,米国の敵であるベネズエラやボリビア,キューバ,また,インドの敵であるパキスタン,イスラエルの敵であるシリア,サウジ,エジプトなどが名を連ねる。また,治安の悪化が懸念されているアフリカのスーダンや,南スーダン,ソマリアといった国々が中国支持に回っているというのも恐ろしい話である。
地図をよく見ると,コンゴ民主共和国やミャンマー,ジンバブエ,ベラルーシのように,国内の少数民族や反政府組織に対する強圧政治を敷く国が中国政府に靡(なび)くという動きは,これからの国際政治を眺める一つの視座になるだろう。今後とも中国の政治経済に左右される世界情勢には注意を払う必要がある。