『大和古寺風物誌』

亀井勝一郎『大和古寺風物誌』(新潮文庫 1953)をパラパラと読む。
元は昭和17年に刊行された旅行記である。斑鳩宮、法隆寺、中宮寺、法輪寺、薬師寺、唐招提寺、東大寺、新薬師寺8つの寺を実際に訪れ、古寺から受ける落ち着いた印象を、周囲の風景や歴史、建築様式と合わせて考察を深めていく。
空襲が激しくなっていくに連れて、現実から目を背けんがために、悠久の歴史や荘厳な仏閣に嵌っていくというパラドックスな時代の空気が感じられる。