『「今のBRICs」がわかる本』

財部誠一『「今のBRICs」がわかる本』(三笠書房 2008)を読む。
「今の〜」といっても10年前の本なので,ふんふんと軽く読んだ。
貿易や投資先という視点から,世界人口の4割(2017年現在,全世界76億人に対して4ヶ国で32億人弱)を超える4カ国の経済成長性や国内マーケットの購買力について統計データを交えて説明している。とりわけ,原油と天然ガスの膨大な埋蔵量と生産量を誇るロシアと「出ない鉱物はない」と言われるほどの資源大国であるブラジルの両国への刮目を促す。ロシアは共産主義こそ崩壊したものの近寄りがたい軍事国家の側面を残した古いタイプの国というイメージがあるが,実態は自由市場経済と中央集権国家の開発独裁型政治のちゃんぽんであり,最も効率の良い経済発展の道を爆走している。また,ブラジルもアマゾン川とサッカーとサンバに彩られた開発途上国というイメージが強い。しかし現在は,世界需要のおよそ500年分の鉄鉱石が眠っていると言われるカラジャス鉱山を抱える資源国の側面に加え,サトウキビの生産からバイオエタノールの精製,エタノール車の製造まで一貫して手がける,世界屈指の農業国であり工業国という側面も併せ持つ。

編集サイドの意向なのか,分かりやすく書かれているものの,なんとも味気ない文章で読んでいて楽しくなかった。もう少し作者の横顔が見られれば親しみもあっただろうに。