香取神宮

千葉県香取市にある香取神宮を訪れた。銚子に向かう途中の国道の看板を見てふらっと立ち寄った次第である。
明治時代まで「神宮」と称される神社は,三重の伊勢神宮と茨城の鹿島神宮と香取神宮だけであったようだ。大国主の国譲りの際に活躍する経津主神(フツヌシ)を祭神とすることで知られ,伊勢神宮と同じような雰囲気を感じた。建物の佇まいなのか。木の芳香なのか分からないが,俗世の淀んだ心が洗われるようなさっぱりとした気持ちになった。
拝観料300円を払って宝物館にも入った。薄汚い館内に源頼朝の寄進状などの古い文献や重要文化財が展示されていた。しかし,総じて明治天皇,大正天皇礼賛を狙った明治百年記念式典(1968年)前後に作成された絵画や香取型戦艦の展示が多く,ある種の偏向が入った見せ方であった。
また,安倍晋三首相の「大和心」と題した真新しい石碑まで設置されていた。「内閣総理大臣」の名称こそなかったものの,政教分離の原則は何処へやら。

香取神宮の裏手にあった団子屋を覗いてみた。正真正銘の昭和の風景であった。いまどきこんなおもちゃを欲しがる子どもがいるのであろうか。童心を懐かしむ大人相手の商売だろうか。