森達也『放送禁止歌』(光文社文庫 2003)を読む。
2000年に解放出版社から刊行された本の文庫化である。テレビ・ディレクターの著者が、テレビやラジオで「自主規制」されている「放送禁止歌」についてドキュメンタリー番組を作成するにあたって、各方面への丁寧な取材や著者自身の考え方の変化などがまとめられている。
特に、山谷に住む日雇い労働者を題材とした「山谷ブルース」や被差別部落を題材とした「手紙」の作詞・作曲を手掛けた歌手の岡林信康氏への思いと、京都市伏見区竹田地区に伝わる「竹田の子守唄」の解題の2つを軸に話が進んでいく。アメリカの放送禁止歌の事例や、内容の如何を問わずにある特定の言葉が入っているだけで規制されてしまう実情も紹介される。
著者の放送に対する実直な姿勢が伝わってきた。
『放送禁止歌』
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