『恍惚の人』

有吉佐和子『恍惚の人』(新潮社)を読む。
20数年前のベストセラーであるが、なかなか面白かった。単なる「老人性痴呆症」の主人公を悲哀的に描いたのではなく、嫁である昭子さんの視点を通して、耄けてしまった舅の茂造が活き活きと描かれていた。また家庭内で「耄け老人」を抱える立花家の騒動を通して、女性を家庭に縛りつける家族制度や老いを迎える中年世代のぼやき、地域社会の希薄化、3世代家族のすれ違いが丁寧にかつ楽しく描かれていた。

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