パンフレット研究:昭和薬科大学

昭和薬科大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
昭和大学薬学部と間違えそうだが、全くの別法人の学校である。
1930年に東京目黒に設立された昭和女子薬学専門学校を母体とする。1950年に昭和薬科大学と名称を改め男女共学となる。その後、1990年に町田キャンパスに全面移転している。2006年の薬学6年制スタートを機に生物薬学科を廃止し、薬学科のみとしている。聖マリアンア大学との関係が深く、聖マリアンナの教育棟内に昭和薬科大学の実習施設が置かれている。これまでの大学運営が成功した部類であろう。薬学部薬学科一本に絞ったために、大学のカリキュラムがシンプルになり、その分だけ少人数の研究室が充実する結果となっている。また、バブル崩壊前だったので、都内のキャンパスの敷地はさぞ高く売れたであろう。町田キャンパスは小田急線、田園都市線、JR横浜線の3駅が利用できる便利な場所にある。こじんまりとしたキャンパスで6年間少人数教育を受けるという環境は素晴らしい。また、クラブやサークル活動も盛んで、雰囲気の良さが伝わってくる。

パンフレットには大きく、薬剤師国家試験合格率が2年連続、関東地区第1位と宣伝されている。留年率が少し高いのが気になるが、全国平均が83.60%の中、合格率95.26%というのは立派な数字である。入試段階では薬学部の中で中堅校に位置する同校が、卒業段階で大きく伸びている原因はどこにあるのだろうか。
他大学のパンフレットと読み比べた訳ではないが、昭和薬科大では、1年時に専門科目はほとんど行わず、英語、数学、物理、化学、生物の授業をみっちりと行っている。そして2年時以降、1年時の基礎に積み上げる形で専門科目を配置している。薬学科1学科しか設置されていないため、選択科目がほとんどなく、「全員足並みを揃えての国家試験に臨む教育支援」体制が構築されている。1〜3年次において、定期試験の結果の思わしくない学生を対象として、外部講師による夏期講習、冬期講習が実施されている。また4年次には共用試験対策として個人面談、確認試験、模擬試験、補講が行われ、6年次には1年間かけて外部講師による補講を合計200コマ(各90分)行い、秋には学内教員による48コマ(各90分)の特別補講まで設けられている。

また、薬学部卒業後の進路についても、卒業生の写真や言葉を交えて紹介されている。薬剤師の職場というと、薬局や大学病院、製薬会社しか思いつかないが、化粧品会社や、新薬の承認を目指す治験のモニター、自衛隊の衛生資材部薬剤課、下水道水質課など幅広いことが分かった。

この大学の面白いところは、1974年に付属高校を沖縄県浦添市に開学していることだ。Wikipediaによると、開学当時の第7代理事長・荻原光太郎氏は「太平洋戦争によって多大な犠牲を受けた沖縄県の復興・発展に、教育を通じた人材育成で貢献したい」という思いを述べているとのこと。

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