日別アーカイブ: 2023年5月28日

『自転車で旅をしよう』

自転車生活ブックス編集部『自転車で旅をしよう:初めてでも楽しめる週末ツーリングのすべて』(ロコモーションパブリッシング 2005)を読む。
週末のサイクリングに必要な準備や計画に始まり、自転車の選び方やバッグ、アクセサリーの説明、乗り方や宿泊、先達の自転車旅の醍醐味など、自転車旅の全てが詰まっているムック本である。

2005年に刊行された本なので、スマホがない頃なので、「ツーリングの超基本アイテム」の地図の折りたたみ方や地形図の購入方法、1/25,000と1/50,000、1/200,000の地形図の特徴など、今となっては隔世の感すら感じる部分が印象的であった。また、当時から26インチMTBに700cのロードタイヤをつけた舗装路ツーリングスタイルを奨励するショップの記事も興味深かった。

「エルドアン氏 優勢か」

本日の東京新聞朝刊にトルコ大統領選挙の決選投票の情勢が報じられていた。
エルドアン氏も移民に不寛容な政策をとっているのに、野党候補は更なる移民排除を訴えているという。エルドアン氏の前任のアブドゥラー・ギュル前大統領(在任 2007年8月28日 – 2014年8月28日)はバランスの取れた大統領で、まさにイスタンブールの置かれている位置に象徴されるように、欧州と中東の接点、イスラム教勢力とキリスト教勢力の緩衝材としての役割を果たしてきた。(クルド人に対する姿勢は評価しないが)

授業の中でも紹介したが、エルドアン前大統領はシリアやアフガニスタンの難民がトルコ国内に留まらないように、ギリシア国境付近へ強制的に追い出し、EUに難民を押し付けてきた。イスラム教の盟主であるトルコを頼ってきた難民にとっては手酷い仕打ちである。そのエルドアン政権よりもさらなる排外主義が打ち出されようとしている。

ウイシュマさんを見殺しにしたとも言われている名古屋入管を抱える日本も遠い国の話ではない。つい先日も日本維新の会の梅村みずほ議員が、国会の場において日本の滞在資格が甘いと口汚く批判したばかりである。週2回の地理総合の授業であるが、難民を取り巻く国内外の現状を伝えていきたい。

『絵の前に立って』

中山公男『絵の前に立って:美術館めぐり』(岩波ジュニア新書 1980)をパラパラと読む。
著者は東京大学文学部美学美術史学科を卒業した研究者で、美術館館長や筑波大学、明治学院大学の教授を歴任している。中高生向けに日本の美術館に所蔵している近代ヨーロッパの作品を、時代背景や作者の経歴を交えて紹介している。ミレーやマネ、モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、マティス、ピカソなど錚々たる名前が並ぶ。

作品の紹介以上に、これらの名画が大原美術館(岡山県倉敷市)やブリジストン美術館(現アーティゾン美術館)、出光美術館、ひろしま美術館など、民間の美術館に多数陳列されているという事実の方が驚きであった。バブル期に日本人による海外の美術作品漁りがニュースとなったが、果たしてどれくらいの日本人がこの名画を鑑賞できる眼を持っているのであろうか。