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「モンゴル 汚職・インフレ、不満爆発」

本日の東京新聞朝刊に、モンゴルで石炭輸出を巡る汚職疑惑で揺れているとの記事が掲載されていた。東アジアの項で取り上げなかったモンゴルについて確認しておきたい。

モンゴルは13世紀後半には世界の4分の1、人口1億人を抱える大帝国であった。しかし、14世紀に入ると、現在のイランやトルコ、ロシア、中国の反乱によって一気に滅亡に向かっていった。16世紀にはインドでモンゴルの名を継いだムガル帝国などの誕生もあったが、現在の領土とほぼ変わらないところまで退却している。

20世紀前半には旧ソ連政権の成立に合わせて、社会主義国となっている。しかし、1990年に旧ソ連が崩壊すると、同じタイミングで社会主義を事実上放棄し、複数政党制を導入し、民主化・市場経済化の道を選択している。

国土こそ日本の4倍の156万平方キロメートルもあるが、人口は日本の3%の340万人しかおらず、国際ニュースで報じられることは少ない。首都のウランバートルに160万人余りが暮らしており、典型的なプライメートシティとなっている。国土の大部分はケッペンの気候区分の亜寒帯冬季少雨気候(Dw)であり、内陸部は海から遠いため、ステップ気候(BS)や砂漠気候(BW)に属している。

モンゴルは工場や農場は少なく、輸出のほとんどを石炭、銅、ウラン、レアメタル、レアアース等の地下資源に頼っている。一人当たりのGDPは4,167米ドル(2020年)となっており、金持ちの国ではないが、緊急の食糧支援を必要としている国でもない。2012年から始まった日本とモンゴルの間で経済連携協定(EPA)交渉が2016年にまとまり、その前後から貿易額は輸出入ともに大幅に増えている。

ネットで検索したところ、不正を起こしたとされるTavan Tolgoi社は、社会主義時代の1966年に設立されている。公有企業なので、民営化する前のJRやJT、JTB、営団地下鉄などをイメージすると分かりやすいだろうか。
一私企業の問題ではなく、モンゴル政府の関与も疑われる深い闇を感じる事件である。