月別アーカイブ: 2020年7月

『金沢望郷歌』

五木寛之『金沢望郷歌』(文藝春秋 1989)を一気に読む。
ひさしぶりに五木寛之氏の小説を堪能した。高校時代に読んだことがあるのかもしれないが、全く覚えてはいない。
主人公は40歳を過ぎた金沢の地方タウン誌の編集長で、人生のレールが敷かれつつも迷ってばかりいる40代という、人生の踊り階段で繰り広げられるドラマが展開される。雑誌「オール讀物」に1年半にわたり四回に分けて連載された作品で、どの章立ても一つの作品としてまとまりがありつつ、全体のバランスも取れている逸品となっている。

久しぶりに良い小説に出会った心地よい読後感を味わうことができた。五木寛之小説のベスト5に入る作品であろう。では残りのベスト5は?

「中国 新たな領有権争い」

本日の東京新聞朝刊に、中国が国境を接するヒマラヤ山脈の小国ブータン東部の「サクテン野生生物保護区」の領有権を新たに主張し始めたとの記事が掲載されていた。ちょうど学校が再開された先月から今月にかけて、中国とインドの国境をめぐる衝突がニュースになったので、授業の中でも新聞記事を紹介したところである。

授業中に中国の地図を描いてもらいました。国境について2つの破線部があったかと思います。ネパールの西の方はラダク地方といい、インドとパキスタンが領有を激しく争っているカシミール地方に隣接します。

今回はブータンの東側が舞台です。新聞記事にもある通り、中国の習近平国家主席とインドのモディ首相の間は国境だけでなく、政治や経済でも揉めています。中国が弾圧をかけているチベット仏教の指導者ダライ・ラマ14世は、60年以上インドに亡命したままです。

考査にも出題しましたが、こうした中国の拡大の背景には、中央アジアとインド洋を制する「一帯一路」経済圏構想があります。世界には様々な国境紛争がありますが、その政治的、経済的、宗教的背景を押さえておく必要があります。期末後の授業で触れていきたいと思います。

『裸の王様』

ビートたけし『裸の王様』(新潮新書 2003)を読む。
読みながら、聞いたことのある話が続くかと思ったら、15年ほど前に一度読んだことのある本であった。

「トラウマ」という言葉に逃げたり、誰も反対できないスローガンを掲げるだけで、本質の部分や結果から目を背けようとする日本の世相に異議を申し立てる。

「世界全体で1400万人超」

本日の東京新聞朝刊に、新型コロナウイルスの感染者の国別統計が掲載されていた。

この統計に2019年の人口国別統計を重ねてみたい。

米国(329,065千人)
ブラジル(211,050千人)
インド(1,366,418千人)
ロシア(145,872千人)
ペルー(32,510千人)
南アフリカ(58,558千人)
メキシコ(127,576千人)
チリ(18,952千人)
英国(67,530千人)
イラン(82,914千人)

人口統計と見比べてみると、意外にもチリの感染率が高く、人口1000人あたり、17人が罹患している計算となる。インドが一番低く、人口1000人あたり、1人いるかいないかといったところである。もちろん検査体制や検査受診率で大きく変わるところなので、一概には言えないが、アジア圏の圧倒的な少なさは指摘しても良いであろう。世界人口ランキングのベスト15位までに入る中国(1,433,784千人)、インドネシア(270,626千人)、パキスタン(216,565千人)、バングラデシュ(163,046千人)、日本(126,860千人)、フィリピン(108,117千人)、ベトナム(96,462千人)などのアジア諸国が名を連ねていない。気候での明確な線引きは出来ないし、一人当たりのGNIも関係なさそうだ。地理的に感染拡大の理由が説明できると授業で偉そうな顔ができるのだが。。。

『還らざる道』

内田康夫『還らざる道』(文春文庫 2014)を読む。
2006年に刊行された単行本の文庫化である。
愛知県足助町や岐阜県加子母村、岡山県木之子町など、あまり一般的ではない村や町が舞台となった旅情ミステリーである。久しぶりの浅見光彦作品であり、張り詰めた気分が少し解れたように感じた。森林の中を自転車で走ってみたくなった。

物語のヒロインが大学少林寺拳法部の出身で、裏拳や金的蹴で暴漢を倒すシーンがあった。作者の内田氏にどのような意図があったのであろうか。