月別アーカイブ: 2019年4月

『「在日」としてのコリアン』

原尻英樹『「在日」としてのコリアン』(講談社現代新書 1998)をパラパラと読む。
教材研究の一環として,昔購入した本を読み返しているのだが,同じテーマの本が続いているので,分かったふりをしてさらっと読んだ。
在日韓国人・朝鮮人の政治的な差別や運動というよりも,在日の今日的定義付けに紙幅が割かれている。在日4世・5世ともなると,韓国や北朝鮮に帰国しようとする気はほぼ皆無であり,さりとて日本においそれと帰化もできない。韓国人・朝鮮人として日本で永住していくという,一見分かりやすいような分かりにくいようなアイデンティティとなる。
「在日」の定義付けの難しさは裏返せば,「正しい」日本人の定義にも繋がってくる。一体歴史的に血統的に正当な日本人は,日本国内に何人存在するのであろうか。天皇も朝鮮半島の血が入っており,「生粋な」日本人の枠組みからは外れていく。今上天皇自身が「在日××世」である以上,在日と日本人の明確な定義付けそのものが意味をなさなくなっている。

ちょっと疲れているので,頭が回らない。何が言いたかったんだっけ。

『観光コースでない 香港』

津田邦宏『観光コースでない 香港:歴史と社会・日本との関係史』(高文研 1999)をパラパラと読む。
朝日新聞香港支局長を務めた著者が,返還前の香港と大陸のきな臭い歴史や,反英闘争と中国共産党との関係など,観光とは全く別物の香港事情が語られる。
但し,ひたすら単調に文章が続いていくので,途中で飽きてしまった。

『フィンランド 豊かさのメソッド』

堀内都喜子『フィンランド 豊かさのメソッド』(集英社新書 2008)を読む。
フィンランド・ユヴァスキュラ大学大学院に留学した著者が,一人の日本人から見たフィランド人の日常を語る。
フィンランドの豊かさとタイトルにあるが,フィンランドは人口500万人強に過ぎず,資源が豊富にあるわけでもなく,スウェーデンとロシアの大国に挟まれ,歴史的にも決して豊かであった国ではない。
しかし,教育に力を注ぎ,学齢期の子どもだけでなく,国民誰しもがいつでも自由に学ぶ環境が整備されている。また,労働時間も短く,その分だけ自分の人生や趣味,家族と充実した時間を過ごしたり,ステップアップする勉強にあてたりすることができる。
こうした男女の差別もなく柔軟な,深みのある社会こそが豊かな社会ではないかと著者は述べる。

『日朝関係の克服』

姜尚中『日朝関係の克服:なぜ国交正常化交渉が必要なのか』(集英社新書 2003)をパラパラと読み返す。
南北問題が日米中ソの思惑で翻弄され,南北がじっくりと向き合って統一交渉に望めなかった歴史が綴られる。

『不幸を選択したアメリカ』

日高義樹『不幸を選択したアメリカ:「オバマ大統領」で世界はどうなる』(PHP研究所 2009)を卒読する。
著者は共和党の,とりわけレーガン大統領の信奉者である。前ブッシュ大統領の失策につけ込むだけで,民主党のカーター大統領のように弱腰で,世界に冠たる米軍を統率できない(しない)オバマ大統領は,やがて世界の覇権を失い,米国内の政治経済に混乱をもたらすだろうと警告を発する。

つまらない内容だったが,アメリカの国力や軍事力の強さ,更にはそうした力に裏付けされたドルの強さに関する章は興味深かった。