関裕二『古代史で読み解く桃太郎伝説の謎』(祥伝社黄金文 2014)を半分ほど読む。
日本人の誰しもが知っている桃太郎であるが、その成立ははっきりとしていない。ヤマト建国直後の4世紀に活躍した吉備津彦命がモデルだと著者は推定する。吉備津彦命は第7代孝霊天皇の子で、崇神天皇の時代に四道将軍のひとりとして、西道(山陽道)に遣わされた人物であり、岡山県・岡山市にある吉備津神社に祀られている。ただし、孝霊天皇は実在が疑問視される欠史八代(第2代から第9代までの天皇)の一人であり、吉備津彦命も『日本書紀』編纂段階での皇統に箔を付けるために設定されたキャラという見方もできる。『日本書紀』がヤマトの正当性を喧伝するための「正史」という性格