地上波で放映された、大島渚監督、松田龍平・ビートたけし主演『御法度』(松竹 1999)を観た。
司馬遼太郎の原作を元にしていた異色の時代劇である。幕末の新撰組における衆道(男色)の流行がテーマとなっている。
当時の新撰組の血気盛んな雰囲気は感じられたが、肝心の男色を巡る愛憎模様はあまりよく伝わってこなかった。
生死を賭けた争いと隣り合わせの男色という設定に込められた意味がいまいち分からなかった。
『御法度』
コメントを残す
昨日に続いて、小和田哲男監修、小杉あきら画『[マンガ]日本の歴史がわかる本:【幕末・維新〜現代】篇』(三笠書房 1999)を読む。
1853年のペリーの浦賀沖来航から現代までの150年間の流れが分かりやすくまとめられている。子ども向けの学習漫画ではなく、大人向けに政治の裏側や背景をきちんと説明しているので大変分りやすかった。特に何度覚えても忘れてしまう幕末の流れや、自由民権運動の対立などがすーっと頭に入ってきた。
紙幅の限られた中で、反戦運動や労働運動にも触れられており、何度も読み返したい本であった。
最後に、監修担当の小和田氏は次のようにまとめる。
よく、「歴史の流れ」というが、歴史はなにも自然に流れるわけではない。むしろ、どのように流すか、歴史のまっただ中にいる人によって考えられ、流されてきたという側面を見ないわけにはいかないように思われる。
ひるがえって、いま私たちは、政治に対してなんとなく無力感をもってしまっている。それは「私一人ぐらいが何をしても無駄」という思いがあるからである。しかし歴史は意外と、そうした力のない人々がなんとなく力を合わせて動かしてきたのである。
本書からそのあたりの「歴史の流れ」を読み取っていただければ幸いである。
小和田氏は、有名人物や事件の名前、年号を知ることではなく、名もない農民や市民、労働者、学生の思いがやがてはおおきなうねりとなって歴史を作ってきたと述べる。歴史を学ぶ本当の意味は、「歴史の流れ」を肌身に感じることで、政治や経済に対するちょっとした思いを持つことなのである。学校の試験で点数にはならないかもしれないが、ちょっとしたキッカケやちょっとした見方を学ぶことに意義を見いだすことが大事である。