月別アーカイブ: 2012年7月

『乙女の密告』

第143回芥川賞受賞作、赤染晶子『乙女の密告』(新潮社 2010)を読む。
多少意地になってここ近年の芥川賞受賞作を読んでいる。
京都にある外語大学のドイツ語の暗唱大会を間近にした「乙女」たちの信頼や裏切り、秩序、密告が、第二次大戦中の隠れ家でのアンネ・フランクを取り巻く複雑な人間関係を象徴するという一種冒険的な作品である。
しかし、現実のドタバタコメディドラマのような雰囲気と、ユダヤ人というだけで自己否定を迫られる若い少女の悲痛が、最後までうまく噛み合ないまま終わってしまう。
芥川賞が「荒削りな文章ながら輝きを放つ才能」に贈られる賞であるならば、この作品は納得できる気がする。

さいたま水族館

下の子が熱を出したので、上の子ども二人を連れて羽生にあるさいたま水族館に行ってきた。埼玉県内に生息する淡水魚が中心なので、どれも小ぶりだが子どもは鯉に餌をあげて亀に触って満足したようだ。

前回は、上の子が歩き始めた、5年半前くらい前に来たので、子どもの成長と自分の衰えにも気づく一日となった。

Link→ さいたま水族館

『カンガルー・ジャック』

地上波で放映された、ジェリー・オコンネル主演『カンガルー・ジャック』(2003 米)を観た。
最初はまあ真面目な映画かと思っていたら、途中からCGのカンガルーが踊りだすなど、完全なコミック映画であった。ストーリーもハチャメチャであったが、キャストが美男美女であり、オーストラリアの風景の美しさに魅せられ、最後まで楽しむことができた。

『長江哀歌(エレジー)』

地上波で放映された、第63回ベネチア映画祭/金獅子賞受賞、ジャ・ジャンクー(賈樟柯)監督『長江哀歌(エレジー)』(2006 中)を観た。
長江の三峡ダムの建設に伴い、強制移住された者や建物の取り壊しに従事する労働者を描きながら、夫婦や家族の絆、街のコミュニティーを破壊しながら進んでいく国家プロジェクトを浮かび上がらせている。

前半は下の子を寝かしつけながらだったので、ゆっくりと観ることができたが、後半は上と真ん中の子が帰ってきてしまい、主人公の悲哀を味わうことができなかった。

『レディ・キラーズ』

地上波で放映されていた、コーエン兄弟監督、トム・ハンクス主演『レディ・キラーズ』(2004 米)を観た。
完全な喜劇なのだが、詩の朗読や教会での聖書の話、猫の弔いといったシーンが挿入され、因果応報的なテーマも感じられ、最後まで楽しむことができた。