ここしばらく、1936年(昭和11年)に刊行された、太宰治処女短編集『晩年』(新潮文庫 1947)をぱらぱらと読んでいる。
半分ほど読み終えたところだが、全く面白くなく、これ以上読むまいとページを閉じたところである。
故郷でちやほやされ、東京帝大を出たばかりの20代の若者の、人を馬鹿にするようなエリート意識が作品の底流に流れている。そして、今度は、その侮蔑の矛先が、左翼運動の自滅や心中未遂事件以降、自分自身に向かってしまうという悲劇が描かれる。
高い評価を得ている作品のようであるが、多忙を極めている現在の自分には、当時の太宰が抱えているような自己否定の鬱とした感情を受け入れる余裕はない。
今夕のテレビニュースは、昨日の東京都議選の自民党敗北を受けて、麻生総理の解散、辞任、不信任の文字が躍る喧しいものである。一度「国民の敵」を作り上げると徹底して潰そうとする日本のマスコミのいやらしさばかりが鼻につく。