河合塾職員丹羽健夫『悪問だらけの大学入試〜河合塾から見えること』(集英社新書 2000)を読む。
端的に言えば、大学入試を批判し、高校現場の困惑を指摘することで、相対的に予備校を持ち上げようという内容だ。
大学入試においては問題作成を担ってきた教養部の解体、少子化による入試日程の多様化によって問題の質が明らかに落ちているそうだ。確かに著者が指摘するように、某私立大学の日本史の問題は特にひどい。
問2栄西のもたらした茶の製法の最初の工法は何か。
a:蒸した b:太陽光線にさらした c:火にあぶった d:釜で炒った
問3 問2の工程の次に行われるう製茶の工程は何か。
a:揉捻する b:そのまま乾かす c:細かく切る d:発酵させる
問4 栄西のもたらした茶の種類は何か。
a:煎茶 b:玉露 c:番茶 d:抹茶
どこの大学の問題かは知らないが、ほとんど、クイズ番組のカルト問題のような出題である。
また、看護系専門学校の入試問題もかなりひどい代物で、国語の入試など便覧等を使ってテキトーに作ったような問題ばかりだ。しかし、この予備校関係者の指摘する問題は大学入試の改善だけでは簡単に片付かない。一条校の流動化、学歴階層社会、学問のあり方など様々な問題が絡んでくる。
4月より週5日制が導入されるとまた予備校に求められるものも変わってくるだろう。その時大手予備校はどのような対応をとるのだろうか。