地上波で放映された、ウィリアム・ワイラー監督、グレゴリー・ペック主演『大いなる西部(原題: The Big Country)』(1958 米)を観た。
19世紀後半のアメリカの、銃で自分や家族を守り、力づくで事業を開拓していくといういわゆる開拓者精神の雰囲気は良く伝わってきた。ただ良くも悪くもアメリカ的な価値観に染まった映画であった。
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『風立ちぬ』
子どもをお風呂に入れてから、慌ててイオンシネマへ出掛け、宮崎駿監督『風立ちぬ』(2013 東宝)を観た。
関東大震災から大恐慌を経てきな臭い世相になっていく当時の日本の雰囲気は、機関車や乗り合いバスの描写を含め良く伝わってきた。
しかし、航空技術者の堀越二郎氏生き様と堀辰雄氏の作品『菜穂子』『風立ちぬ』の作品世界を合わせて描くという狙いであったが、いまいちその意図するところが伝わってこなかったように思う。
学生時代に、私の卒論ゼミの担当の杉野要吉先生が、中野重治の次に堀辰雄を研究しているという話をしていたことをふと思い出した。確かその際に杉野先生は、堀辰雄こそがプロレタリア作家だと述べていたと記憶している。戦争の最中で恋愛を描くというのは一番の反戦メッセージとなる。宮崎駿版『風立ちぬ』はそうした戦争と恋愛の直接的な相克がうまく描かれていなかったのではないか。
『ツイステッド』
『こびと劇場3』
『許されざる者』
映画の試写会の鑑賞券が当たったので、イオンシネマで、李相日監督渡辺謙・柄本明・柳楽優弥主演『許されざる者』(2013 ワーナーブラザース)を観に行った。
辛口にコメントするならば、中身の薄い大作映画だった。明治初期、元下級武士の釜田十兵衛が、女郎の顔を傷つけた破落戸(ごろつき)に復讐を果たし、さらにアイヌや女郎を差別的に扱う官軍に一矢報いるという内容である。しかし、渡辺謙演じる釜田たちの任侠心がいまいちはっきりとせず不純なものであるため、作品全体がすっきりとしないままに終わってしまう。アイヌを苛烈に支配してきた旧幕府の侍が、亡くなったアイヌ人の妻への慕情を心に仕舞い込みながら、官軍に鉄槌を加えるという設定自体が分かりにくさの原因となっているのであろう。ハリウッド映画のように、もっと単純に勧善懲悪な内容であれば共感しやすかったと思う。











