読書」カテゴリーアーカイブ

『ニングル』

倉本聰『ニングル』(理論社 1985)を読む。
既に休刊となったが、雑誌「諸君!」(文藝春秋社)に1985年の1年間にわたって連載されていた小説である。連載していた雑誌宛に手紙が届いたりと、ドキュメンタリっぽい展開のファンタジー小説となっている。

富良野の森の妖精であるニングルは、300年にわたって作り上げてきた森や水脈が、人間が開発した機械によって、わずか10分で破壊されてしまう恐怖を語る。ニングルとの出会いを通して、北海道の恵の水を生み出す森林が一方的に破壊されていくことに、人々が気づき始めていく。

文章が変だが、おしまい。

 

『泣ける2ちゃんねる』

泣ける2ちゃんねる監修『泣ける2ちゃんねる』(コアマガジン 2004)をパラパラと読む。
ネット掲示板2ちゃんねるに投稿された、ほろっとする書き込みが収録されている。ちょうど『電車男』が流行った時期であり、短編小説のような展開の書き込み多い。

『防犯セキュリティガイド』

日経BPムック『防犯セキュリティガイド:ビル・住まい・まちの最新事例に学ぶ』(日経アーキテクチュア 2004)を手に取った。
ムック本であるが、業者向けの内容で、防犯カメラや指紋認証ドアロック、防犯ガラスなどの商品の紹介がメインの記事となっている。ビルのICカードのバーゲートやビッキングしにくいディンプル錠など、普段目にしない広告が印象に残った。

『暮らしのなかの第三世界』

北沢洋子『暮らしの中の第三世界:飽食と繁栄VS飢えと貧困』(聖文社 1989)を読む。
現在では「第三世界」という用語は死語になっており、「グローバルサウス」という語が使われている。インドやブラジル、タイ、南アフリカのような、南半球に位置するアジアやアフリカ、中南米地域の新興国・途上国の総称であり、執筆当時の1990年当時、世界経済(名目GDP)に占める先進国のシェアは80%、途上国は20%だった。しかし、2020年には先進国60%、途上国40%になっている。

現代史の本という感じで読んだ。コロンブスがカリブ海にやってきた翌年の1493年には、エスパニョーラ島で砂糖生産が始まっている。カリブ海の温暖な気候と豊富な雨量が砂糖キビの生産に適していた。16世紀にはこの島の工場は200を数えるようになり、年産1600トンの粗糖がヨーロッパに運び込まれた。当時のヨーロッパは砂糖は金銀・真珠なみの貴重品として扱われていた。
最初はヨーロッパからの移民労働が中心だった。原住民のインディオは抵抗したのでほとんど殺してしまったからである。やがて白人労働者だけでは間に合わなくなり、アフリカから黒人を連行して使役するという方法を考えついた。こうして奴隷貿易が始まった。
18世紀には砂糖は世界貿易の最大品目となった。これは19世紀の鉄鋼、20世紀の石油に相当する。

広葉樹林は落葉が土壌を肥やし治水に役立っているが、針葉樹林にはこのような効果がない点も問題である。

特にユニリーバのアフリカ侵略に関する項が興味深かった。ユニリーバは世界で最も古い、最も大きい石鹸とマーガリンの多国籍企業である。日本でも食品の「リプトン」や「クノール」化粧品の「LUX(ラックス)」や「Dove(ダブ)」「モッズ・ヘア」、洗剤の「ジフ」「ドメスト」など多数のブランドを展開している。このユニリーバ社はコンゴでベルギーの雇い兵を使って、住民の生活や環境を破壊してパームやしのプランテーションを拡大してきた。またマーガリンも落花生をからとれる植物油を原料とするため、フランス領セネガルでコンゴと同様の強制を行なっている。

『ウェブがわかる本』

大向一輝『ウェブがわかる本』(岩波ジュニア新書 2007)を読む。
非常に読みやすい本であり、半身浴をしながら斜め読みでも全文を読むことができた。
著者は執筆当時国立情報学研究所助教と総合研究大学院大学助教を併任している情報学の専門家である。2019年からは東京大学大学院人文社会研究系准教授に就任している。

ヨーロッパ原子核研究機構のティム・バーナーズ=リーのハイパーテキストに始まり、イリノイ大学のマーク・アンドリーセンらによるモザイクブラウザ、スタンフォード大学生のデビット・ファイロとジェリ・ヤンが設立したヤフー、同じくスタンフォード大学のサー藝・ブリンとラリー・ペイジによって作られたグーグルに至るウェブの発展の歴史が分かりやすくまとめられている。専門的な解説は一切なく、ウェブの仕組みや活用法などが丁寧に説明されている。いかんせん15年前の本なので、ブログとSNSの役割の違いや、Wikipediaの紹介など、かなり知られた情報もあるが、それ以上に文章の上手さが印象に残った。