森博嗣『スカイ・クロラ』(中央公論新社 2001)を読む。
延々と感情移入できない場面が展開されるだけで,最後まで読み終えたものの,純文学作品にありがちな作者の思い込みのみが印象に残る作品であった。
10年ほど前に押井守監督の映画を観たことがある。その時は劇場型戦争や兵士の苦悩を描いた作品として感動したのだが,原作の方はいただけなかった。
「読書」カテゴリーアーカイブ
『白球残映』
第113回直木賞受賞作,赤瀬川隼『白球残映』(文藝春秋 1995)を読む。
タイトルにある通り,野球をモチーフにした短編集で,「ほとほと」「夜行列車」「陽炎球場」「春の挽歌」「消えたエース」の5つの作品が収録されている。
野球に全く関係ない著者の私小説的な雰囲気の「夜行列車」が興味を引いた。大分の高校を卒業し銀行に就職しながらも,東大受験に向けて「仮面浪人」を続ける主人公の葛藤を描く。
『笑える! 世界の七癖 エピソード集』
岡崎大五『笑える! 世界の七癖 エピソード集』(PHP新書 2009)を読む。
海外ツアー専門の添乗員として世界83の国々と接してきた著者が,日本とはかけ離れた世界の常識について,面白おかしく語る。
最後に著者は次のように述べる。
いまのビジット・ジャパン・キャンペーンでは,なにより日本の山と海の美しさをアピールするのが大切なのではないだろうか。
世界のどこの国の人たちも,世界有数の先進国で工業国の日本が,これほど自然に恵まれた島国だったとは想像できないでいるのだ。
また,日本を旅する多くの外国人旅行者たちが,日本の自然の美しさを賞賛している。もっと彼らの発言に耳を傾けるべきである。
ここで日本が誇る,とっておきの美景を紹介する。これは美しい癖に入れてもらいたい。それが駿河湾などの海から見える富士山である。
この広い世界のなかで,3000メートル級の雪をかぶった高い山が,海から見えるのは富士山くらいのものである。
世界的な観光地であるハワイのマウナケア山も,海から見えないことはない。しかし,白と青のコントラストやシルエットの美しさは,富士山の比ではない。
日本人は,まだまだ自分の意外な奇癖に気づいていないのである。
『絵地図の世界像』
応地利明『絵地図の世界図』(岩波新書 1996)を読む。
京都大学で人文地理学を専攻する著者が,江戸時代の「拾芥抄大日本図」や「金沢文庫蔵日本図」,「仁和寺蔵日本図」などの古代図,さらにはそれらの元になった「行基図」に描かれた「羅刹国」や「雁道」の正体を「今昔物語集」から明らかにする。最後まで読み終えることは出来なかったが,人文地理学の一端を垣間見ることが出来た。
『藝人春秋』
水道橋博士『藝人春秋』(文藝春秋 2012)を読む。
浅草キッドの水道橋博士が出会った伝説の藝人とのやり取りが綴られる。そのまんま東,甲本ヒロト,石倉三郎,草野仁,古舘伊知郎,三又又三,堀江貴文,湯浅卓,苫米地英人,テリー伊藤,ポール牧,稲川淳二といった錚々たる面々の本性が暴かれる。
ここ数日,吉本興業所属の芸人が詐欺グループの忘年会で「闇営業」したとのニュースを巡る顛末が喧しい。この本で書かれている昔の芸人世界の話もなかなかのものである。
