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『水族館は海への扉』

杉浦宏編著『水族館は海への扉』(岩波ジュニア新書 1989)をパラパラと読む。
著者の杉浦氏は、日本大学農学部水産学科を卒業し、恩賜上野動物園水族館に勤務したのち、井の頭自然文化園水生物館長を務めた、現場一筋の水族館員である。ラジオ「全国こども電話相談室」の回答者としても活動しており、自身の経験を交えて、戦後になって各地に広まっていった水族館にまつわるドタバタが描かれる。

上野動物園は正式には「東京恩賜上野動物園」という。母体は1882年開園で、日本で最も古い動物園である。昭和天皇が結婚した1924年に、動物園を施設ごと東京都へ「下賜」されたものである。

その他アクリル板を用いた水槽作りなど、自身の経験で文書が綴られており、高度経済成長期に日本各地で繰り広げられた挑戦が垣間見えて面白かった。

『宇宙のキーワード』

海部宣男『宇宙のキーワード』(岩波ジュニア新書 1991)をパラパラと読む。
当たり前の話だが、夜空にきらめく星は全て自分で光る恒星である。その恒星の光を反射して見える惑星は、太陽系にある水・金・地・火・木・土・天・海王星以外、存在を確認できていない。
そういった宇宙に関する基本的な内容が分かりやすく説明されている。
他にも、野辺山の電波望遠鏡や岐阜県のカミオカンデなど、政府が科学開発に重点を置いていた時代背景が垣間見える。

『幻想古書店で珈琲を』

蒼月海里『幻想古書店で珈琲を』(ハルキ文庫 2015)を読む。
神保町の三省堂を思わしき大型書店の本棚の隙間に、魔法の喫茶店がオープンしたというファンタジーである。ニコライ堂やすずらん通り、書泉グランデなど、駿台予備校時代に足繁く通った本屋や風景が出てきて懐かしかった。

『田園発 港行き自転車』

宮本輝『田園発 港行き自転車』(集英社 2015)の下巻を読み終えた。
賀川真帆・寺尾多美子、脇田千春、夏目海歩子・佑樹の3つの家族の物語が絡み合い、富山県滑川に3つの物語が収束していく。久しぶりに長編を読み終えた疲れが残った。

『田園発 港行き自転車』

宮本輝『田園発 港行き自転車』(集英社 2015)の上巻を読む。
久しぶりにA4サイズの地図帳を取り出して、富山県内の地名を確認しながら読み進めた。
3つの家族の物語が絡み合いながら展開していく群像劇となっている。
かなりのボリュームだったが、一気に読み進めた。
富山から入善町までサイクリングをしている登場人物をして、作者は次のように語らせる。

文化財保護と銘打って、古民家のあちこちを補修して安化粧で装い、「なんとかの道」だとか「なんとかの宿跡地」だとか名づけて、おじさんやおばさんが観光バスで乗りつけても、そのなものはせいぜい十五分も歩けば底が知れてしまって、おいしくもない、というよりも、たいていはまずい草餅とか名代のなんとか蕎麦を食べさせられて、古くて風情のある商家ねェ、なんて言って、それきり思い出しもしない観光用の町が、日本中に造られてしまった。
しかし、そんな人口の名所は映画のセットと同じなのだ。
そこでいまを生きている住人の気配もなければ息吹もない。喜怒哀楽のない、ただ古さだけを売り物にした人工物だ。