地理」カテゴリーアーカイブ

「今年最高 都心37度」

本日の東京新聞朝刊にここ最近の猛暑の模様が報じられていた。
内陸ほど昼間の気温が高くなるので、40度を超えた地点として群馬県桐生市や伊勢崎市、埼玉県鳩山町などが取り上げられている。

この猛暑の原因に、貿易風に乗って太平洋を東から西に流れる赤道海流によるラニーニャ現象が指摘されている。ラニーニャ現象が発生すると、記事にもある通り太平洋高気圧とチベット高気圧が張り出し、日本付近で厳しい暑さになる。また、ラニーニャ現象が起きる夏は水不足や台風被害の拡大も予想されている。今も暑いが、9月に入ってからも厳しい残暑に見舞われることであろう。

 

「プーチン氏 粛清の記憶消す」

本日の東京新聞朝刊に、ロシア・プーチン大統領がロシア国内でも否定されているはずのスターリン政治の再評価を進めているとの記事が掲載されていた。世界史の範囲になるが、ヨシフ・スターリンは、1924年にレーニンが亡くなってから30年近くソビエト社会主義共和国連邦の代表を務めた人物である。一国社会主義論を展開し、万国の労働者のための国づくりではなく、自分たちの懐を潤すだけの独裁体制を作り、反対派を徹底して粛清した人物としても知られている。粛清された人は、1,000万人とも3,000万人とも言われる。

どこかのクラスで話したが、政治や民族、経済的に国内が分断され始めると、政権側は自分たちにとって都合のよい国家統合装置をつくり出す。それは王室や皇室だけでなく、国民栄誉賞を貰うようなスポーツ選手や芸能人かもしれない。いずれも政治的な溝や民族的な齟齬、経済的な格差を覆い隠すようなパフォーマンスが繰り広げられる。

スターリンの死から3年後の1956年に、フルシチョフソ連共産党第一書記長によって、行き過ぎたスターリン個人崇拝が、誤った独裁政権や大量殺人を行った政権を生み出すことになったと批判されている。

「トレーラーから50遺体発見

本日の東京新聞朝刊に、米南西部のテキサス州の校外で乗り捨てられたトレーラーからヒスパニック系の移民50人の遺体が見つかったとの衝撃的なニュースが報じられていた。

50人の内訳で判明している人の国籍は、メキシコが22人、グアテマラが7人、ホンジュラスが2人だという。このうちホンジュラスは人口1000万人近い国だが、資源に乏しく、コーヒーやバナナ、パーム油などの熱帯商品作物しか輸出できないため、一人当たりのGNIは2,180米ドルとなっている。近年の物価高や失業率の増加、米ドル高を考慮すると、数字から見えてくるもの以上に経済が混乱していることが想定できる。

地理の公式ということで、移民や難民は一人当たりのGNIが低い国から高い国へと移動していく。米国の1人あたりのGDPが69,221ドルであることを考えれば、コロナや物価高、独裁政権で混乱している中南米諸国から米国への流れは止めようがない。

また、授業中に何度も触れているが、中南米はブラジルや一部の国を除いてスペイン語が話されているので、国を超えた移動が楽である。但し、メキシコと米国の間の国境警備は厳しくなっており、バイデン政権になってからも排外主義の流れは変わっていない。

今後の授業の中でも、一人当たりのGNIを確認しながら、移民や難民について考察する機会を増やしていきたい。

「ロシアの飛び地 新たな火種」

本日の東京新聞朝刊にカリーニングラード州の話が出ていた。旧ソ連の崩壊とともに誕生したロシアのEU内の飛び地であり、面積は1万5000平方キロメートル、人口は95万人の小さな州である。気候区分はギリギリ西岸海洋性気候であり、1月の平均気温が-3度を下回っている年もあり、測定地点によっては亜寒帯湿潤気候に位置することもあろう。

めったに出てこない地名であり、改めて地図帳で確認してみるのもよいであろう。きな臭くなっているバルト海に面しており、EUにとっては喉に刺さった魚の骨のようなイライラさせる存在である。

「諏訪湖『釜穴』の仕組み解明」

本日の東京新聞朝刊に、諏訪湖の湖底から、数万年前に生成されたメタンガスが発生しているとの興味深い記事が掲載されていた。

少し難しい話をすると、諏訪湖は、松本盆地、諏訪盆地、伊那盆地などの、長野県を縦に走る糸魚川-静岡構造線を西縁とする大地溝帯(フォッサ・マグナ)のど真ん中に位置する。記事の下の図にあるように、太平洋プレートが西進によって形成される北米プレートとユーラシアプレートの狭まる境界と、中央構造線のずれる境界がちょうど交差する位置にある。

諏訪湖もアフリカ大地溝帯のタンガニーカ湖やロシアのバイカル湖のように、断層運動によって大地の窪みにできる地溝湖となっている。今回の記事も地溝湖ならではのスケールの大きい話である。諏訪湖を地図で調べても平均水深4.7m、最大水深7.4mとしか出てこない。しかし、記事では地下150mもの深さからメタンガスが放出されているという。

これと同じ話を、10年ほど前に長野県大鹿村にある中央構造線博物館を訪れた際に、もう引退された河本和朗学芸員が身体を使ってレクチャーを受けたことがある。手や腕を巧みに使って、中央構造線のずれと、諏訪湖の形成を説明されていたのを今でも記憶している。

私も河本氏の考えに従って、授業中はなるべくスクリーンの絵ではなく身体を用いて内的営力や外的営力を表現するように心がけている。授業を受けている高校生には、はしゃぐ中年男性としか映っていないかもしれないが。