投稿者「heavysnow」のアーカイブ

授業のふりかえり

名古屋出入国在留管理局に収容中のスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が3月に死亡した問題について、本日までの授業の中で触れました。
シリアやアフガニスタンの難民の状況、トルコやEU側の受け入れ、日本での難民・移民政策の実態、入国管理局の外国人収容施設の問題点、外国籍の方との結婚など、多岐にわたる内容を一気に詰め込みました。移民政策や難民問題は日本だけが抱えている問題ではありません。多くの国で多かれ少なかれ移民政策の課題を抱えています。そして、移民政策自体が常に賛否両論、総論賛成各論反対の側面を有しており、正解のない問題です。授業の中で、あえて皆さんの人生にも関わる問題だという側面を強調しました。

ウィシュマさんの名前で検索してもらえれば、これが今度の衆議院選挙の大きな争点の一つとなっていることが分かると思います。皆さん一人一人が自分の将来選択に関係する政治課題として捉えてほしいと思います。

 

『ネグロス』

山本宗補『ネグロス:嘆きの島』(第三書館 1991)をパラパラと読む。
フィリピンで4番目に大きいネグロス島で起きた武力衝突や難民、貧困、プランテーション、NGO活動、国際結婚ビジネスなど、嘆きしかない島の惨状を写真と共に紹介している。

特に日本にエビを輸出するために、砂糖キビ畑を潰して、一面エビ養殖場のプランテーションに様変わりした写真が印象に残った。近年はインドやベトナム、インドネシアからの輸入が多いが、1980年代はフィリピンでも日本に輸出するために汽水のマングローブ林を伐採してエビの養殖場が次々と作られていった。しかし、ネグロス島で生産されるエビの身のほとんどが日本に輸出され、島の人々にはエビの頭の部分しか回ってこない。

その他、学生時代に先輩が批判していた財団法人オイスカ(NGO)の問題や丸紅による銅鉱山開発による自然破壊など、ネグロス島を取り巻く問題について丁寧に論じられている。しっかりと現地を回ってインタビューを重ね、現出される問題点の背景にメスを入れていく、ジャーナリストとしての姿勢が伺われる。

「パキスタン『核開発の父』カーン博士死去」

本日の東京新聞夕刊に、パキスタンで1990年代末に核実験成功を主導したカーン博士が死去との記事が掲載されていた。記事にもある通り、カーン博士によって、パキスタンの核開発技術が北朝鮮やイラン、リビアに極秘裏に提供されている。

また、記事では触れていないが、カーン博士は共同通信のインタビューの中で、1980年代に来日し、日本企業に核兵器に必要な部品を注文したと話している。麻生内閣の時に、国会でも取り上げられたが、真相は闇の中である。しかし、日本は米、露、英、仏、中の5か国の核兵器国以外への核兵器の拡散を防止する核兵器不拡散条約(NPT)に締結しており、この件は明らかに条約違反である。北朝鮮の核開発に日本企業が貢献していたというのは、あまりに間抜けな話である。

『蜩の記』

第146回直木三十五賞受賞作、葉室麟『蜩の記』(祥伝社 2011)を読む。
久しぶりの感動作であった。3年後の切腹を命じられ幽閉の身の秋谷と、刃傷沙汰により秋谷の監視役を仰せつかった庄三郎の二人の武士の物語である。そして村の百姓との出会いや恋物語、武士としての信念など、様々なエピソードを交えて、人間的に未熟だった庄三郎が心が通い筋がとった武士として成長していく姿がかっこいい。
直木賞受賞作として申し分のない出来である。