「根拠」

昨日書いた、「根拠」であるが、1週間ほど前の東京新聞の夕刊の文化欄に文学者宮内勝典氏の文章が載っていた。その一部を引用してみたい。

ぼくは外界と文学との関係を語った。小説は何を書いてもいい。たとえば、アパートの一室の小さな出来事でも、暗く閉じた頭蓋の中で起こったことでも、いっこうにかまわない。だが、外界を広く、深く、ぎりぎりまで意識化していけば、その出来事はおのずと光をはらみ、普遍性の真っただ中へせり上がってくるはずだ。その言葉の海から浮上してくるものこそが、文学なのだ。

文学が力を無くして久しいが、地道に学生との討論の中で、文学から社会に踏み込んでいく姿勢は評価できる。まだ氏の本を読んだことはないので、何とも言えないが、戦後の日本の文壇の「政治と文学」論争によって混乱してしまった文学に是非「根拠」を与えて欲しいと思う。

□ 宮内勝典公式サイト「海亀通信」 □

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