『博士の愛した数式』

小川洋子『博士の愛した数式』(新潮社 2003)を読む。
素数に異様なまでの執着を持つ80分しか記憶が持続できない元数学教授と、家政婦の母子との奇妙な交流を描いた作品である。博士は「本当に正しい証明は、一分の隙もない完全な強固さとしなやかさが、矛盾せず調和しているものなのだ。なぜ星が美しいか、誰も説明できないのと同じように、数学の美を表現するのも困難だがね」と一見デジタルな数式に真善美が隠されていると指摘する。その博士の愛した数式と、ど根性江夏豊の奇妙な取り合わせに魅せられていく主人公の姿が印象的である。

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