『貧乏クジ世代:この時代に生まれて損をした!?』

香山リカ『貧乏クジ世代:この時代に生まれて損をした!?』(PHP新書 2006)を読む。
受験や就職で過酷な競争を強いられながらも、実際の仕事現場や年金問題などで大きく割りを食った第二次ベビーブームの団塊ジュニア世代にスポットを当てる。私もまさに団塊ジュニア世代であり、自分の置かれた境遇だと思い興味を持って読んだ。団塊ジュニアは、バブル経済と共に成長しながらもバブルの旨みを知らない世代であり、劣等感や敗北感が他の世代に比べて多いというデータがある。また、団塊ジュニア世代は、物心がついた時には携帯電話やメールは存在しておらず、リアルなコミュニケーションこそが本物だと知っているため、「メールはしょせんメール」だと下の世代ほど割り切ることができず、ネットやメールでのコミュニケーションに振り回されるケースが多いそうだ。

確かに、携帯電話の電話帳から削除すれば人間関係も切ることができるといったような「割り切り」の感覚は私にはない。しかし、一方でメールやインターネットに大学生時代から触れ、ツールとしてはかなり使いこなすことができる世代でもある。
最近の日雇い派遣は携帯電話のメールで伝えられる。仕事に対して熱心に取り組む順応性を持っている一方で、メール一本で簡単に首を切られるという経験を現在の団塊ジュニアは強いられる。
この私たちの狭間世代というのはこれからも様々な形で表出してくることであろう。

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