『作家の値うち』

福田和也『作家の値うち』(飛鳥新社 2000)をパラパラと読む。
存命のエンターテイメント作家50人と純文学作家50人の作品を取り上げ、全てに作品に100点満点で点数を付けるという大胆な評論集である。
最高点96点は古井由吉『仮往生伝試文』と村上春樹『ねじまき鳥のクロニクル』、石原慎太郎『わが人生の時の時』の3作品が挙げられている。

何百冊の作品の全てを読み、純文学にもエンターテイメントにも偏ることなく、小説の持つ力について平等に採点をした労作なのだが、その評価は分かれるところであろう。

小林多喜二や中野重治の作品が持っていた可能性を受け継いだ作家として金石範を高く評価していたのが印象に残った。