『子供をゆがませる「間取り」』

横山彰人『子供をゆがませる「間取り」』(情報センター出版局 2001)を読む。
ちょうど、引っ越しを意識している昨今だったので、大変参考になった。
筆者は、建築設計事務所を経営する一級建築士であり、新潟の少女監禁事件や神戸連続児童殺傷事件など、凶悪犯罪に走ってしまった子どもの家庭の住環境と家族関係を大胆に分析している。そして、子どもと親密なコミュニケーションを保つための具体的なリフォームプランを数多く提案している。
特に筆者は子どものための広い個室の部屋を前提とした間取りは、子どもが自分だけの占有スペースに籠もってしまい、家族の団らんが追いやられてしまうと警告する。そして、家自体は親のものであり、子ども部屋は親の管理下にあるということを子どもに教え込むことが、子どもの成長に安心感を与えると述べる。一方で、子どもの占有スペースは本棚やカーテン、また家族の間のルールの元に保障することで、良い意味での自立が促される。また、キッチン、ダイニング、リビングをできるだけ広いオープンスペースで設計もしくはリフォームし、中学校まで子どもはリビングで会話をしながら勉強し、兄弟への気遣いをする生活スタイルこそが、子どもの成長につながると説く。筆者は子ども部屋のあり方について次のように述べる。

  1. 勉強机とベッド(または布団)が置ければよいのだから、スペースは3畳で充分。快適な個室は引きこもりを助長する。
  2. 子ども部屋と玄関先を結ぶ動線上にダイニングやリビングがあること。
  3. 日当たりのよさを必要以上に求めない。むしろ悪いくらいでいい。
  4. 親の目が常に届く位置にあり、少なくとも気配が感じられる配慮が大切であること。

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