大学案内研究:東洋学園大学

東洋学園大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
1917年に開校した明華女子歯科医学講習所を改組して、1926年に創立された東洋女子歯科医学専門学校が母体となっている。1950年に東洋女子短期大学(英語科)が東京・本郷に開学し、1967年に千葉県流山キャンパスが開設されている。1992年に短大をベースにして、武蔵野線南流山駅からスクールバスで5分という不便な場所に、4年制の東洋学園大学(人文学部英米言語学科・英米地域研究学科)が開学している。その後、コミュニケーション学科の開設や現代経営学部の開設など幾度か学部学科の改廃が行われるも、学生確保に苦労する状況が続く。2007年に本郷キャンパスを整備し、1・2年時は流山、3・4年時は本郷という形態をとるも、受験生からの評判は芳しくなかったようだ。2008年に大学院現代経営研究科現代経営専攻が開設され、さらに、2013年に人文学部をグローバル・コミュニケーション学部と人間科学部に再編し、2014年よりグローバル・コミュニケーション学部と現代経営学部は4年間本郷キャンパスで、人間科学部は4年間流山キャンパスで学ぶという大幅な改変が行われる。付属の高校や専門学校を持たない4年制大学のみを運営する法人なので、おそらく台所は火の車であろう。しかし、身軽な分だけ大学改革は積極的であり、来年度の受験に期待したいところである。

パンフレットの中身であるが、3学部、4学科、18コースほとんど同じレイアウトのページがずっと続くので読む気をなくしてしまう。それぞれのページを開くと、専門科目やゼミの紹介、コースの特徴、学びの流れ、学生の様子など分かりやすく書かれているのだが、全ページを見比べてみようという気持ちにはならない。教養教育と英語教育に重きが置かれ、4年間にわたって、英語表現科目と人文科学・社会科学全般を網羅した科目が設置されている。専門科目の方は細かくコース設定がなされいるものの、体系立てたリキュラムになっておらず、選択科目から自由に選ぶだけのアラカルト式である。また、国際交流プログラムも業者任せのありきたりな内容である。定員割れが続いているので、学生のニーズに応じて丁寧にコース設定をしなくてはいけない、一方で、小規模大学故にあまり細分化してしまうと、受講者が一定人数集まらず開講できなくなってしまう、痛し痒しの状態である。

しかし、東洋学園大学の圧倒的な欠点は就職率であろう。2012年度においては、483人の卒業生に対し、就職者271人、進学者3人である。就職希望者の内訳は無視して、ざっと計算してみて就職率は56%に留まっている。定員に満たないので就職が悪いのか、就職が悪いので定員に満たないのか、これまた解法の見つけにくい課題である。あと数年すれば教員団も一気に若返るので、40代の若手の教員の采配が問われるところであろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください