日別アーカイブ: 2023年8月3日

「インド、南シナ海関与強化」

本日の東京新聞朝刊に、インドがフィリピンやベトナムとの軍事連携を強化し、南シナ海でのプレゼンスを高めていくという記事が掲載されていた。全くもって意味のない不要な緊張を招くだけの外交である。貧困や洪水で困っている人たちのためにこそ財政を動かしていくべきである。アメリカに追随するだけでよいのだろうか。非同盟・全方位外交の伝統はどこへ行った?

歴史に踏み込むと、かつてインドは日本の独立(米国隷属)を果たしたサンフランシスコ平和会議に参加しなかった国の一つである。インド・ビルマ(ミャンマー)・ユーゴスラヴィアの3カ国は、講和後における外国軍隊の駐兵を予見するような平和条約の規定や賠償問題への不満などを理由に会議への不参加を表明している。

様々な軋轢を抱える南アジアの盟主であるインドには、1955年のアジア・アフリカ会議でネルー首相が提唱したように、アメリカにもロシアにも属さない第3世界の結集軸として存在感を示してほしい。

「ニジェール2邦人退避」

本日の東京新聞朝刊に、ニジェールの軍事クーデターの様子が掲載されていた。
そもそもニジェールは日本から馴染みが薄い国である。西アフリカの内陸に位置し、面積は約130万平方キロあり、日本の役3.3倍となっている。人口は約2600万人で公用語はフランス語である。一人当たりのGNIは610ドル(2022)となっており、世界最貧国の一つである。ただしウランなどの鉱物資源の輸出が好調なため、失業率は0.5%となっている。

国境を見れば分かるが、定規で引いたようにまっすぐな数理的国境となっている。フランスがアフリカ支配に都合の良いように国境を引いたことが、サヘル地域の貧困と混乱に繋がっている。南側のナイジェリアとはニジェール川で繋がる同じ民族である。北側をフランスが支配したのでフランス読みでニジェール、南側はイギリスが支配したので英語読みでナイジェリアとなっている。もうすぐ人口2億人に達しようかというナイジェリアがニジェールを圧倒しているのが実情である。

記事を読む限りでは、軍事クーデターの背景にどのような動きがあるのかよく分からない。イスラム過激派なのか、ロシアや民間軍事会社ワグネルが絡んでいるとの報道もある。西アフリカ全体に波及する事件ともなるので注目していきたい。

『遠い海から来たCOO(クー)』

第99回直木賞受賞作品、影山民生『遠い海から来たCOO(クー)』(角川書店 1988)を読む。
コロナでずっと横になっていたので、おもむろに手に取ってみた。白亜紀の首長竜が南太平洋のフィジー諸島で少年によって発見されるというファンタジー小説である。

細かい描写は読み飛ばしたが、大体内容を掴むことができた。残念なのは物語の主人公であるプレシオサウルスの話よりも、フランス軍やグリーンピースなどの人間の対立や戦闘シーンが多かった点である。恐竜が絶滅した理由に関する話は興味深かったので、もう少し恐竜の話が知りたかった。