内田康夫『黄金の石橋』(実業之日本社 1999)を読む。
西南の役(1877)において、熊本城で官軍に負けた西郷隆盛が薩摩への帰り道の途中で隠したとされる西郷札を巡る殺人事件である。実際に西郷隆盛の部隊が通った水俣や大口、都城、また西郷が自刃した城山などが登場し、歴史の勉強にもなった。ミステリーとしては最後の最後で全く登場して来なかった第三者が犯人になる腑に落ちない展開であった。
日別アーカイブ: 2018年9月16日
『まるごと覚える 気象予報士試験 ポイントレッスン』
新星出版社編集部『まるごと覚える 気象予報士試験 ポイントレッスン』(新星出版社 2005)を読む。
前半は気象についての基礎知識で、後半は気象予報試験対策や気象予報士に関する法律の解説となっている。後半は読み飛ばしたが、前半の基礎知識編では、大気大循環や台風やモンスーン、季節ごとの特徴など、教材研究に役立った。
『福沢諭吉』
高橋昌郎『福沢諭吉:明治知識人の理想と現実』(清水書院 1978)を読む。
福沢諭吉の人物伝であるが、後半は福沢諭吉の宗教観について丁寧に説明されている。福沢諭吉に関する本というと、慶応大学出身者の手による諭吉礼賛のものが多い。しかし、本書の著者高橋氏は東大出身であり、福沢諭吉の時流の判断ミスや思想的限界について指摘する。
福沢諭吉というと、江戸時代以前の儒教精神を完全に否定し、キリスト教や西欧資本主義を積極的に受容していたというイメージがある。しかし、明治の後半に入り、農家の没落や貧富の差の拡大を目の当たりにし、宗教的なバックボーンに根ざした「独立自尊」のあり方を説くようになる。
閉校寸前にまで追い込まれた慶應義塾の立て直しや、教科書を用いた授業のスタイルの確立、田舎の子どもたちにこそ教育が大事だと述べるなど、教育者としての福沢諭吉の顔が理解できた。