小舘由典&できるシリーズ編集部『Excel2002で表計算がマスターできる本』(インプレス 2003)を読む。
関数に関する説明はほとんどなく、印刷の仕方や保存のやり方など基本的な操作方法が分かりやすく説明されている。
月別アーカイブ: 2013年6月
『トゥモローワールド』
『背負い水』
第105回芥川賞受賞作、荻野アンナ『背負い水』(文藝春秋 1991)を読む。
表題作の他、『喰えない話』『四コマ笑劇「百五十円×2」』『サブミッション』の3作が収められている。
『背負い水』は、旧来の家族観や恋愛観と対比させる形で、新しいドライな家族のありようや、デジタル感覚な恋愛模様が描かれる。文体も「研ぎすまされ」ており、現在の芥川賞受賞作の流れに近い内容となっていた。
他の3作も少しだけ読んだが、残念ながらついていけなかった。
パンフレット研究:明星大学
大学名や教育学部に力を入れているところから、大正自由教育運動の明星学園の流れを汲む伝統のある学校かと思っていた。しかし、よく調べてみると、明星大学の設立法人は「明星学苑」であり、大正自由教育運動の流れで設立された「明星学園」とは全くの別物であった。
明星大学は1923年に設立された明星実務学校を母体として、1964年に開設され、現在では、経営学部、経済学部、教育学部、人文学部、情報学部、理工学部、造形芸術学部の7学部を擁する総合大学へと発展している。多摩モノレールの「中央大学・明星大学駅」に直結している日野キャンパスにほとんどの学生が集まっている。造形芸術学部の2〜4年生のみがJR青梅線「河辺」駅からバスで15分の、通学に不便な青梅キャンパスで学ぶ。
大学パンフレットをいくつも手にしてきたが、これまで読んできたパンフレットの中で1、2位を争うほどスカスカな内容であった。唯一東京都公立小学校採用試験現役合格者数ランキングで4位に入っている教職サポートに力が入っている程度で、あとは20年以上前かと思うような学科や講座の説明、カリキュラム、時間割モデルが並んでいる。しかもテキトーにただ並べただけの全学共通科目と何のつながりも感じられない専門科目が並んでいるだけのカリキュラムを見るに、大学全体のやる気のなさがひしひしと伝わってくる。経営学部の1年生前期の時間割モデルでは週に10コマしか授業が入っていない。また「キャリア開発」といった就職支援の授業が堂々と正課の授業となっている。経済学部「キャリア特別講義」なる怪しげな授業が4年間で6コマも用意されている。人文学部心理学科に至っては、1年時に10単位しか専門科目が無く、なおかつ4年時には専門ゼミのみしか授業が置かれていない。教育学部や情報、理工、芸術の各学部はパンフレットを見る限りは、びっくりするような問題点は見つからない。しかし、就職にも語学にも力を入れている様子は無く、ただ漫然と奇麗な校舎で4年間を過ごしたい学生にはうってつけな場と時間が提供されるのであろう。早晩にも消えてしまいそうな大学ナンバーワンであった。
『帰郷』
第111回直木賞受賞作、海老沢泰久『帰郷』(1994 文藝春秋)を読む。
表題作の他、雑誌「オール讀物」に掲載された『静かな生活』『夏の終わりの風』『鳥は飛ぶ』『イヴニング・ライズ』『虚栗』の5編が収められている。メカニックとしてF1に挑戦した後の生活や仕事の空しさを描いた『帰郷』を含め、男との女の存在意義とイコールであるセックスに捉われてしまう大人の不倫や恋愛模様が描かれる。