月別アーカイブ: 2012年6月

昨日の東京新聞朝刊より

昨日の東京新聞朝刊に、渋谷区の美竹公園など施設で寝泊まりする路上生活者の一斉排除の記事が載っていた。

公園で週1回の炊き出しを14年間続けてきた「渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合」によると、今月11日の午前6時半頃、突然大量の区職員と私服警官らが美竹公園に押し寄せ、建設工事用のフェンスと「立ち入り禁止」と書かれた黄色いテープで頑丈に公園を封鎖したという。

のじれんの黒岩大助代表は「区からの事前通知や話し合いはなかった。突然、だまし討ちで寝込みを襲うような行為は許せない」とし、「一斉排除は路上生活者の寝場所と食事提供場所を一挙に奪うもの。『あとは勝手に死ね』ということに等しい」と批判している。

支援者の一人は「渋谷では、4月にオープンしたヒカリエ(渋谷駅東口の複合商業施設)に代表される都市再開発や、10月の区制式典など華やかな行事が続く。こうした雰囲気に逆行する存在として、路上生活者を敵視しているのでは」と話す。

こうした記事に触れるたびに、都会の片隅で追いやられる人たちの生きる権利を保障する社会、通勤や通学で忙しい毎日の中で、ふと周囲を見回し困っている人たちに寄り添うような人間を育てなくてはならないと思う。自分のことだけでなく、他人のことも合わせて考えられる、そうした知力の育成を大事にしたい。「大将」の批判の声が元気なうちに。

渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合(のじれん)

Facebookでこりごり

昨日の夜更け、ソファに寝っころがって、パソコン片手にテレビを見ながらインターネットをしていた。ふとニフティのホームページのトップにあった「NIFTY-Serve」の文字が気になり、何気にクリックをした。すると、Facebookうんぬんとの表示が出てきて、あまり気にも留めずポチッ、ポチッと「同意」だか「次へ」をクリックして進んでいった。

手続きが完了し、「NIFTY-Serve」のトップページに移ろうとした矢先に携帯電話の着信音が聞こえ、Facebookの招待メールが送られてきたというかなり強い苦情の電話が寄せられた。どうやら私のPC内のどこかに保存されていたメールアドレスが「勝手」に収集され、私自身の与り知らぬところで、招待メールが勝手に送られるという事態が発生していたらしい。いや、私はメールソフトは使わず、ウェブメールで全て済ませており、アドレスもハードディスクには保存されていないはずなので、クラウド上のどこからかアドレスを掠めとっていったようだ。

すぐに、「Facebook」の解除の手続きをしたのだが、誰に送られたのかも分からず、後味の悪さだけが残った。私の頭の中では、「Facebook=悪質ウィルス」という公式ができてしまった。

「公立図書館 サービス合戦」

本日の東京新聞夕刊に、「公立図書館サービス合戦」と題した記事が掲載されていた。

東京で公立図書館運営の民間委託が近年急増しており、23区では、計223館のうち182館(82%)で委託が導入されているという。民間委託によって従来の図書館になかったサービスが展開され、府中市では「図書館流通センター」に運営を委託し、蔵書83万冊にICタグを付けた新しい検索システムが導入され、年間貸出冊数が委託前の約2倍になっている。また、千代田区では「図書館コンシェルジュ」が置かれ、雑誌のバックナンバーが貸し出し中なら区内の古書店を紹介したり、観光案内などもしたりしてくれる。さらに、佐賀県武雄市は、ソフトレンタル店大手「TSUTAYA(ツタヤ)」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブに運営を任せる方針を発表し、年間1千万以上の運営費の削減効果を見込んでいる。
しかし、民間委託には反対の意見もあり、日本図書館協会の理事は「民家委託で職員は使い捨ての状態。利用者の幅広い読書要求に応じて資料や情報を提供したり、地域に根ざした蔵書の管理など、公立図書館が本来持つ役割を果たすことが難しくなっている」と指摘している。

図書館というのものは、短期的な指標ではなく、中・長期的なスケールで国民の利益に供するべきものである。単に年間の運営費や昨年比の貸し出し数の表面的な数値だけで、民間委託の是非の判断を下すのは早計である。
しかし、アマゾンのキンドルや、グーグルのサービスなど、著作そのものがデジタルの波にさらされ、既存の流通システムや法の目すらかいくぐろうとする現在、民間委託によりアナログの本の流通のシステムを守ろうとする「抵抗」はあってしかるべきであろう。

『アホ大学のバカ学生:グローバル人材と就活迷子のあいだ』

石渡嶺司・山内大地『アホ大学のバカ学生:グローバル人材と就活迷子のあいだ』(光文社新書 2012)を読む。
先月の「週刊SPA」に掲載された、著者の石渡氏の「ド底辺大学のキャンパスバカライフ」と題した記事を読み、仕事とも繋がる内容だったので取り寄せてみた。
週刊誌は「ケンカ」や「万引き」といった煽るような内容であったが、新書の方は定員割れしている大学の内実だけでなく、その中で工夫を凝らす大学の紹介や、効果的な宣伝の指南、様変わりする就活の実態など、大学全入時代以降の大学の抱えている悩みを丁寧に追っている。
「特進クラス」や「国際・グローバル人材」、「面倒見の良さ」、「インターンシップ」といった近年の大学のトレンドについて分かりやすくまとめられており、高校の進路担当教員として知識を整理することができた。

『ヘル』

筒井康隆『ヘル』(文藝春秋 2003)を読む。
先日読んだ『ポトスライムの舟』があまりに日常感覚べったりの小説だったので、少し毛色の違うものということで手に取ってみた。「ヘル」と呼ばれる、死後の世界と夢の世界が渾然一体となった時間と空間を超越した世界の中で物語は展開していく。
死の直前のパニックに陥った心理描写など、筒井氏の奇才が遺憾なく発揮されている作品であった。
「荒唐無稽」という四文字熟語一言では収まりきらないほど、筒井氏の才能の爆発ぶりが目立つ作品である。