娘も2歳を過ぎてから大分言葉が増えてきた。「アンパンマン見ゆ(る)〜」「ごはんばう(食べる)〜」「どきんちゃんねんね」「パパたっち」「お勉強やゆ(る)〜」など2語文で話すことができるようになり、意志疎通もスムーズになってきた。ただ敏感な性格なのか、人見知りや場所見知りはまだ直らず、いやいやが始まりすぐにぐずり出してしまう。今が一番かわいい時期であろうか。
月別アーカイブ: 2008年3月
愛猫 aibyou
『セックスボランティア』
河合香織『セックスボランティア』(新潮社 2004)を読む。
障害者の性というタブーに果敢に挑戦したルポルタージュである。デリバリーの風俗嬢を依頼する脳性まひの男性や、マスターベーションの介助をするボランティア女性、結婚した障害者の夫婦の性生活を援助する介助スタッフ、またオランダにおける公費補助すら受けられるセックスサービスボランティア団体の実態を丁寧に追う。
食事や排泄、寝起き、移動など身のまわりの介助を、「ADL」(Activites of Daily Living)といって、これは「日常生活動作」と訳されている。これに対して、旅行や買い物、化粧などのお洒落などは、「QOL」(Quality of Life)といわれ、「生活の質」のことを指す。私は、「QOL」にセックスも入れるべきことではないかと思うのだが、現在の介助の現場ではほとんど触れられていない。
上記の考え方に基づき、著者はセックスの「ノーマライゼーション」のありようを求めて、セックスサービスを受ける側、提供する側、サービスを運営する側などにインタビューを試み、多角的に障害者向け性風俗サービスに関わる人間の内面に迫る。
障害者にとって性風俗を受けるというのは決して特殊なものではない。また、障害者の性を特殊なものにしようとする社会や家族の圧力に目をむけ、第三者としてではなく、第二者として関わることの必要性を説く。
1953年に出された厚生省のガイドラインでは、審査に基づく優生手術は、本人の意に反しても行なうことができ、やむを得ない場合は、拘束しても、麻酔を使っても、騙してもいいと明示されていた。とんでもない内容です。この法律は96年に改正されましたが、長い歴史の中で積み重ねられてきたマイナスイメージを払拭することは容易なことではありません。したがって、優生保護法が改正されてもなお、障害者は子どもを作ることすら認められないという現状があるのです。
イチロー選手
本日の東京新聞朝刊のスポーツ面に、大リーグマリナーズのイチロー選手の「盗塁教室」の記事が載っていた。
イチロー選手が同僚の選手やコーチに盗塁のスタートをどう切るか説明したとのことだ。体重移動の際に「脚よりも骨盤。骨盤をいかにしっかり動かせるか。それによっていろんな(体の)動きが変わってくる」ことなどを詳しく話したという。
球技というよりも、まさに古武道の動きである。私自身も宇城憲治氏の著作に触れて以来、腰のひねりと重心の移動をここ最近の練習のテーマにしているので、機会があればイチローのレクチャーを受けてみたいと切に思った。
『潜水服は蝶の夢を見る』
マチュー・アマルニック主演『潜水服は蝶の夢を見る』(2007 仏=米)を観に行った。
ロックトインシンドローム(閉じ込め症候群)という、意識は元のままなのに左目のまばたき以外の随意運動の一切が奪われてしまう難病に突然罹ってしまう、ファッション誌ELLEの元編集長ジャン=ドーの入院生活を追った実話である。
主人公のジャン=ドミニク・ボビーは左目のまばたきだけで援助者とコミュニケーションを取り、自らの苦悩を描いた自伝「潜水服は蝶の夢を見る」を執筆する。本の中で、彼は自身を自らの肉体に閉じ込められた潜水服になぞらえ、かつては、そしていつかは蝶のように自由に恋愛を楽しみ歩き回った過去の記憶や空想の中を遊び回る。しかし、本が出版されてから10日後に、彼はこの世での仕事を終えてしまう。
日本だとこの手の作品は苦境にめげず頑張る障ガイ者を描いたヒューマンドラマに終始してしまうであろう。「障ガイ」をモチーフとしつつも、一流の恋愛ドラマに仕上がっているところが恋愛王国フランスの躍如であろう。