綿引弘『世界の歴史がわかる本:ルネッサンス・大航海時代〜明・清帝国編』『同:帝国主義時代〜現代編』(三笠書房 1993)の2冊を一気に読んだ。
民衆の力によって歴史が動いてきたそのダイナミクスを古代史から一貫して現代までまとめあげている。是非世界史を勉強する受験生に読破してもらいたい良書である。また歴史を学ぶことで今後の現代を占う指針が導かれるとし、本書でも重ねて歴史の繰り返しと歴史から学ぶ人類の叡智を強調している。そして最後に次の言葉で現代編を締めくくる。
イタリアの歴史学者クローチェが「すべての歴史は現代史である」といったのは、人間は、現代社会でぶつかっている課題、そのときの人間の置かれた立場、その時代の制約のなかで、過去を評価してきたのであり、それがその時代の、その地域の人々のすべての歴史となると意味であろう。
宇宙船地球号の危機(地球規模な環境破壊)に直面したわれわれは、まさにこの危機を救わねばならぬという課題に直面しているわけであり、この課題を解決するという視点から、過去の人類の全歴史を洗いなおし、評価しなおすこと、その過程で人類の自然破壊の歴史を明らかにするとともに、その人類が、その時々の自然破壊の危機を乗り越えようとしてきた歴史を掘り起こすことを通じて、現代の課題をどう解決するかの道を模索することが求められているのではないだろうか。